研究紹介
私の研究内容を一言で言うと、生物データを解析する方法の開発です。そのための主なツールとしては、統計、最適化、データマイニングなどを使います。ウェット実験の指導は出来ませんが、データ解析の指導が出来ます。データ解析は応用の利く技術であり、IT企業においても頻繁に使われています。
興味を持った人は是非以下のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。
saigo@inf.kyushu-u.ac.jp
研究例1:タンパク質の機能予測
生物の主要な部品であるタンパク質は、アミノ酸配列という設計図に基づいています。しかしながら現実には、アミノ酸配列が分かっても機能が解明されていないタンパク質が大量にあります。そこで、アミノ酸配列が ”似ている” 配列は機能も似ているだろうという仮定に基づいたタンパク質の機能予測法が多数考案されています。
私の研究では、カーネルという写像関数を上手く設計して特徴を抽出することにより、従来の方法よりも精度の高い機能予測法の開発を行っています。
研究例2:化合物の活性予測
製薬会社において薬を設計する過程の一つにバーチャルスクリーニングというものがあります。これは、数百万という計算機上の化合物の中から薬の候補となりうる化合物を絞り込む作業です。当然、数百万の化合物を全て実験で生成して試すわけにはいかないので、計算機によって予測された活性の高い、薬になりそうな化合物だけを生成。
私の研究では、活性を予測するだけでなく、何故活性が高いのか、高くないのかという理由を説明できるモデルの構築を目指しています。
研究例3:HIV患者の治療薬選択
HIV/AIDS は不治の病として知られる一方、最新の医療により発症後もかなり長生きできるようになりつつあります。問題は、患者ごとに如何に適切な薬を選択するかです。患者の体内のHIVウイルスにも個体差があるので、HIVウイルスのゲノムを調べた後に、最も効果の高い薬を選択することが現状の最先端です。
例えば、以下の図は薬の1つAZT(Zidovudine)に対して強い耐性をもつウイルスのゲノム中の突然変異のリストです。151M、215Yといった突然変異がこの薬に対して強い耐性をもつので、これらの当然変異が確認された患者にはAZTを使用するべきでないことが示唆されています。